まず最初に映画「イノセンス」を恐らくは相当な少数派の立場として初視聴した事を記しておきます。原作者が士郎正宗と言うところまでは事前に知っていましたが、私は「『攻殻機動隊』を全く見たことが無かった」のです。タイトルが当初予定の「攻殻機動隊2」であれば当然購入することも無かったでしょう。

何故事前情報も無く「イノセンス」を購入したのか?Blu-rayで映像や音響が素晴らしい作品として評判の良かった作品だったからです。普段は映画は見ない人なんですが、GW前と言う事もあり、じっくりと視聴する時間も取れるかなと見込んでの購入でした。

しかし、一般的に難解と言われる押井守作品。尚且つ続編物と呼ばれる映画を初見するのは大抵の場合は失敗に終るのですが、不思議なもので私は最後まで楽しく見ることが出来ました。勿論、主人公であるバトーの背景であったり、幾度と無く出てくる「失踪した少佐」については本編中は全く理解出来ませんでした。本編を見終わった後でネット検索をしてある程度の背景や舞台を知ることが出来た次第です。

さて作品内容については詳しく書く気はありませんが、本来の目的であった映像については「大満足」の一言です。全編に渡って思わず息が詰まりそうなまでに高密度なCGアニメが展開されます。全体的に暗い近未来の世界が描かれてますが、ノイズを適度に織り交ぜた夜の表現、華やかでありながら廃頽的な祭りの映像、思わず息を呑むシーンの目白押しで最後まで飽きさせません。勿論、あくまでもBlu-rayの映像をフルHDTVで鑑賞した場合です。DVDでどこまで「イノセンス」の映像が表現できているのかまでは判りませんし、興味もありません。

今回のような視聴パターンは意図していたものでもありませんし、本来であれば避けるべき事です。ただ今回の幸運な事故により「攻殻機動隊」や「押井作品」についても今まで無意識のうちに避けていた偏見のようなものが取り除かれたように思います。