・勝利(独占)から成功に
日・英・米のソフトハウス側からのコメントを興味深く読みましたが、共通するのはPS3の欧州での力の入れ方とブランドの強さ、そしてWiiの支配的な状況です。

今までのハード戦争なら「Wiiへの一極集中でいいじゃん」になるのですが、そう簡単に物事が運ばない事は各コメントを読んでいても伝わってきます。

これはBlu-rayがHD DVDに対して大きなアドバンテージを築き、一本化することに意味があると市場やパブリッシャーが判断した状況とは違います。BD vs HD DVDは性能やマーケティング全てにおいてBD側が優れていた事は、1年前の素人の私でも1秒以下で理解できる簡単な話だった訳です。

稲場氏も「Wii/DSが儲かるのは判るが、次世代グラフィックを含めた技術研鑽を停滞させる事は出来ない」と述べています。ハードホルダー直下のソフトハウスでも無い限りはプログラムを含めた開発技術は独自で鍛錬していく必要があります。技術向上を停滞させる事は将来の商品力低下に直結する訳ですから放置するわけにはいきません。

ある程度の規模で世界市場を見込んでいるソフトハウスにとっては、どのハードも軽く扱えない状況が今後も続くでしょう。

PS2時代までは「勝利(独占)」こそがゲーム機戦争の最大目標だった訳ですが、SonyのPSP投入(2004年末)あたりから状況は変わりつつあります。今まで任天堂ハードが圧倒的だった携帯ハード市場においてもPSPは一定の位置をキープし続け、立派な市場を築き上げました。確かに累計ハードではNDSより少ない事は事実ですが、全世界で3000万台を販売したPSPが「負けハード」と言えるのは某匿名掲示板に居座っている人達だけでしょう。

PS3/Xbox360/Wiiに関しても「決着」がつく事は無いでしょう。WiiはSD市場で圧倒的な支持を得るでしょうし、Xbox360に関しても北米では既に市場を確立しました。PS3においては基幹Blu-rayプレイヤーとしての大役も含めてグローバルな支持を得るでしょう。2008年は欧州に続いて日本においてもソフトウェア市場が確立される年になるのは間違いありません。

・次世代Wiiについて考えてみる
現時点のWiiは当ブログの趣旨からは外れるローテクハードですが、次世代機でHDフルサポートになれば話は別です。

コードマスターズからもコメントされているように実質的にゲームキューブ1.5の性能しか保有していない事は発売されるソフトウェアを見れば歴然です。未だにSDTV所有者が多い事から時代遅れの映像能力についてはそれ程問題視されていません(日本メディアは巨大広告主に遠慮するので尚更)が、今後のHDTV普及を考えると2010年前後には次世代機が求められるでしょう。映像に拘らない任天堂ですから、もしかすると開き直って相当先まで現行Wiiで引っ張るのかも知れませんが、どちらにしても次世代機開発に苦労すると思われます。

しかしWiiのメインプロセッサがIBM製PowerPCベースである事から、次世代WiiにCellを搭載すると言う「ウルトラC」も考えられるのです。5年後にはCellも相当に安くなっているでしょうし、コア数を減らした廉価バージョンも存在するかもしれません。DVDドライブを搭載すれば任天堂のマジックプライス25000円を実現する事は十分に可能でしょう。しかもソフト開発に関してはPS3により培われたCellプログラミングが流用できるのですから、まさにウルトラCですな(笑)まぁさすがに無いでしょうけど。