2010年4月1日に配信が予定されているPS3システムソフトウェアVer3.21において「他システムのインストール」機能が削除されることが明らかになりました。

「他システムのインストール」は昨年9月に発売された薄型PS3には最初から未搭載の機能ですが、それ以前の機種(およそ全世界で2000万台普及)には標準で搭載されていました。主な使用方法は「Linux」や昨年6月にリリースされたH264エンコードツール「CodecSys Personal」あたりになるのでしょうか。

Ver3.21へのアップグレードは選択制となり、現在のバージョンを維持することも可能になります。しかしその際にはPSNを含むネットワークへの接続が不可になりますし、今後Ver3.21以上を要求するゲームソフトを遊ぶことは出来なくなります。BDもそのうち再生出来なくなるでしょう。要するにPS3本来の機能は殆ど使えなくなる訳です。

今回の措置は「セキュリティの脆弱性」に対するもので、PS3コンテンツの著作権を保護する事が目的となります。

先般もアジア市場にてPS3「ファイナルファンタジーXIII」中文版が発売される事が発表されました。海賊版が横行してるアジア市場で正規タイトルが発売される運びになったのはPS3システムの堅牢さが大きな要因となっています。PS3はハード発売から3年半以上が経過している訳ですが、未だに海賊版ソフトが登場していない珍しいハードなのです。

勿論完全無敵のハードは存在しませんし、最近ではPS3本体ハックの報告も上がっている事から「海賊版の出現」を阻止する為に今回の措置に踏み切ったものと思われます。私個人としてはプライマリなPS3の使用目的は「ゲーム」以外にはありえず、海賊版の阻止はゲーム文化を守るために最優先される事だと考えています。次世代のゲームハードはDL専売やパッケージもアクティベイト方式を採用し、海賊版と一緒に中古売買まで封じてしまう方向にシフトするかも知れません。その意味でも来年発売される任天堂最新携帯機については性能云々よりも海賊版対策をどのように施してくるのかに興味があります。

まぁ結局問題になるのは「他システム」を活用していたPS3オーナーへの対応でしょう。他システムを活用し続ける為には前述の通りPS3の機能の大部分を諦めることになる訳です。正直なところ1台のPS3で「他システム」をガシガシと活用しつつPS3本来の機能やコンテンツを楽しんでいるユーザが何名存在するのかは判りませんし、そのようなヘビーユーザは大抵複数台所有しているとは思いますが、可能性はゼロではありません。該当者でもないのにネット上でノイジーに騒ぎ立てているであろう人達に「本当に困っているユーザ」が埋もれてしまっているんだろうなぁ。

関連記事
「PS3でLinux」が不可能に 4月1日のアップデートで - ITmedia News
SCE、PS3の新ファームウェアで他OS起動機能を削除 -AV Watch
PS3 Firmware (v3.21) Update – PlayStation Blog
SCE Asiaプレジデント安田哲彦氏特別インタビュー - GAME Watch