仕事がドタバタしていたこともあって少しタイミングを逃しましたが一応書いておこうかなと。







プログラマー&ゲームライターの岩崎啓眞氏のツイートが少し前に話題になっていたようです。

Twitter / 岩崎啓眞: @aireverte 僕の意見は5年前かな。5年前っ ...

岩崎さんTwitterやってたんですね、フォローフォローっと。私は岩崎さんが関わったPCエンジンのゲームは殆どプレイしているはずです。「イースI/II」や「天外魔境II」は本当に素晴らしいゲームソフト、そして素晴らしいコンピュータソフトでした。GTの丹明彦さんと並んで最もリスペクトしているプログラマです。

その岩崎さんの当該ツイートですが、何か内容に問題でもあるのでしょうかね?国内デベロッパの多くが将来への投資として重要なHDの基礎研究をやるべき時期にDSやPSP等に逃げてしまいました。その事が現在の技術格差に繋がっている事は周知のはずです。特にHD開発は大人数のプロジェクトになりますので、一人の才能でゲームの出来が左右される時代ではありません。要するに開発チーム全体の底上げが出来ていないのです。


この「日本と海外のゲーム開発事情」を考える際、「携帯開発とHD開発」と「和ゲーと洋ゲー」の問題は別にしないと話はややこしくなります。実際には混在している場合も多いけど、受け取る側は別にしておかないと主張が読み取れない。

たとえば、最もホットな人物カプコン・稲船氏のテーマは「和ゲーと洋ゲー」が中心になります。技術的なことも発言しているけど、あくまでも「海外志向を追求する為の技術」ですから。そのカプコンはワールドワイドで売る為に日本の市場を捨ててでも海外で受けるゲーム作りにシフトしました。これは同社の方針であり我々がとやかく言う話ではありません、作るゲームに魅力を感じなければ歯牙にもかけないだけのことです。企業の方針としては何も間違っていません。

しかし個人が主張として表に出してしまうと色々と面倒なのです。海外デベロッパの技術力が日本よりも圧倒的に高いのは覆い隠せない事実でしょうが、肝心のゲーム作りの手法や経験やアイデアが劣っているとは思わない。少なくともコンピュータプログラムとして優れているだけであって、「洋ゲー」が「和ゲー」よりも優れているとは断定できないのです。国民性や独自のゲーム文化もありますしね。海外志向で作ったゲームが日本で売れない事をソフトハウスがユーザ傾向の相違で片付けるのは結構ですが、和ゲーを貶めてよい訳ではない。

冒頭に書いた岩崎氏のツイートはあくまでも開発技術の話であり、最先端から乗り遅れない程度のHD開発技術で和テイストのゲームを早い段階で作り出していれば状況は変わっていたかも知れません。残念ながら、私が信頼を寄せるSCEスタジオですらも国産HDタイトルに関しては進化の努力を怠っていたのが現状なのです。

先日体験版が配信された「VANQUISH」は実に素晴らしいゲームだと感じましたし購入は確定している訳ですがベースは完全な洋ゲーです。私はこの技術で日本人好みのゲームを作って欲しいなぁと思うのです。洋ゲーを日本に浸透させるよりは簡単でしょう。


上記のいろいろな問題に対する解決方法の一つは国内外の様々なデベロッパからもコメントされている「ボリューム志向=大作志向」からの脱却になるのでしょうか。ボリュームを減らすことで全体のバランス調整の手間やプログラムも簡素化できますし開発の負担も減ります。何より急務とされている開発スパンの短縮が見込めるのが大きい。私は以前もブログで書きましたが、ボリュームを減らす代わりに品質を追求したゲームをプレイしたいのですよね。

そして未だにHD未参入のデベロッパこそ短いスパンで小規模タイトルをダウンロード専売等で世に出していくべきでしょう。「HDだから」と気合を入れる必要は無いのです。私はまだまだ国産ゲームには期待していますよ。世の中のゲーム全てがFPSやTPS、自由度の高いRPGばかりになってもつまらない。

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