プレイステーションVR






立命館大学の中村彰憲氏が「プレイステーションVR」の今後を展望しています。

元コンピュータ周辺機器開発生産拠点の海外流通担当が捉えた PlayStation VR国内初動が5万台強の理由

中村彰憲
立命館大学映像学部 教授 ・学術博士。名古屋大学国際開発研究科後期課程修了 早稲田大学アジア太平洋研究センター、立命館大学政策科学部を経て現職。 日本デジタルゲーム学会(DiGRAJapan)副会長、太秦戦国祭り実行委員長 東京ゲームショウ2010アジアビジネスフォーラムアドバイザー。

実際、国内においては5万台強と言われる同デバイスもソニー・インタラクティブエンターテインメント・ヨーロッパ(以下、SIEE) President Jim Ryanの発言として、ヨーロッパにおいてはPS VRは予約の段階で数十万台販売したとの報道がなされている(2)。現段階でPS4の国内普及台数が300万台であり、北米がおよそ1500万台、欧州が1700万台(すべて参照URL(3)Forbes誌報道による)であることを踏まえると、各地域で日本国内と同率の1.73%のユーザーがPS VRを初動で購入したと想定しても全世界での普及台数は60 万台強となる。

 保守的に見積もっても、SIEとしては、ローンチ時、全世界で50万台を準備していたと考えられる。なお、ゲーム機やその周辺機器において、50万~60万台という数値は決して高い数値とは言えないが、IT関連機器という視点で見直すと、この数値は著しく低いというわけではない。

(中略)

 では、今後は何に注目するべきなのか? 最も注視する点が、クリスマス・年末商戦がおわった段階で、初期採用者層にどの程度デバイスが浸透したかだろう。

 つまり、PS VRにおいてよりアグレッシブな国内販売最終目標が150万台、全世界で2000万台と設定されていると想定すると、試金石は前述のとおりその16%にあたる国内24万台、全世界320万台を達成できるかどうかだ。これまでアナリストは、年末までに全世界で140万台(7)から210万台(8)が販売されると予測しているが、この数値だとPS VRが初期多数派層へと普及していくか否かはクリスマス・年末商戦でデバイスを購入した人たちの評価次第とも言える。

 もし、クリスマス/年末商戦を契機にオピニオンリーダーである初期採用者によってPS VRが評価され、短期間で国内25万台~30万台、全世界で350万台ゾーンを突破した場合、SIEや、他のメーカーもPS VRの購入者層が初期採用者層から初期多数派層へ移行したとの解釈がなされ、一般の人に訴求しうるVR専用ソフトが続々とラインナップされていく可能性が高い。

 一方、国内で25万台前後、全世界で350万台に届くことなく販売台数が失速した場合は、PS VRの潜在的採用者の母数自体が想定より少ないと判断され、所謂コアユーザーのみが購入するに留まり、ソフトもそのような層のみに訴求しうるラインナップが集中することとなる。同時に、一般的なユーザーはPS VRには手を出すことはなく製品サイクルを収束しなければならなくなる。これは製品ライフサイクルに軌道修正を有するということを意味する。それを示しているのが図3だ。これは、あくまでも図に過ぎず正確な販売実績は販売予測値に基づいたグラフを示したわけではないが、現在はまだ、導入最初期であること、勝負はむしろ、これから数週間後のブラック・フライデーを端緒とするクリスマス・年末商戦であることは感覚的にも確認出来るだろう。

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少し前にエース安田氏が書いていた「2週目で50万台出せなかったから失敗する」と比べると中村教授の分析は納得できる内容。ただ、現在の出荷状況から考えると「短期間で国内25万台~30万台」が達成出来るかどうかは微妙なところ。国内の初期需要がどれだけの規模なのかは判りませんが、年内の配信予定コンテンツも海外と比べると少ないですし、日数経過と共にその数字は減少してるはずです。

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