少し前ですが「空の軌跡 the 3rd」をクリアしました。
空の軌跡シリーズ全体を含めたネタバレ満載ですので隠します。
【FC/SC-3rd】
「空の軌跡FC/SC」のファン向けゲーム。私はプレイしていませんがFF10-2も同じようなノリだったのでしょうか?ゲーム内正史に極力干渉しない状況を作り出し、FC/SCで活躍した主要キャラを無理やり集めます。そして登場人物に関係するサイドストーリーやミニゲームを体験できるシステムを構築。更には本筋の中に本来敵側ではないキャラとの戦闘を盛り込んでいます。
とまぁここまで書いてしまうと普通の「ファンディスク」なんですが、「空の軌跡the 3rd」は一味違うと感じました(他のファンディスクをプレイしていないので確証は無し)。当ブログでも空の軌跡シリーズの感想を何度か書いていますが、ファルコム作品に通じる「生真面目で丁寧」な制作姿勢が3rdにも踏襲されています。
とにかく主要キャラの集め方やミニイベントの展開方法に「一応筋が通った理屈」を付けようとしていますし、本来の味方側キャラとの戦闘においても「手を抜けない理由」をルール付けしています。尚且つ戦闘に至った経緯を含めて双方に遺恨を残さないシナリオやシステム上の配慮や、キャラ間の強さにおいても極端な矛盾を感じさせない相関性を維持させています。強かった敵が味方になるとアレレ?と言った矛盾感は他の作品に比べても少ない方でしょう。この辺りの「生真面目さ」は人によってはやりすぎに感じるかも知れませんが、私はプロの仕事だなと思うわけです。
「物語は「英雄伝説7」へと向けて新たな展開へ!」日本ファルコム公式からの文章ですが、次作はどのような展開になるんでしょうね。公式の文章を受け取ると「FC/SC-3rd」の舞台や物語をそのまま引き継ぐのかなとも取れますが、「結社」との対決かオリビエを中心とした帝国の話になるのか、私はオリビエ贔屓ですので大歓迎ですが(笑)。ガガーブ3部作もナンバリングが変われば時代が変わりますので、10年後とかになるかも。そうなるとリシャール45歳ジン40歳になるのか、でもまぁ剣聖が45歳でアレだけ強いのだから有りですな。
【3rd=ケビン】
3rdはケビンの物語です。とは言えSCから登場したゲストキャラを主人公格に抜擢して物語を展開するのは難しいものです。特に3rdからの新キャラ・リースは、最初の頃は愛嬌のある性格だったのにFC/SCキャラが仲間として増えてくるに従って殆ど空気になってしまい、更には逆切れして戦線離脱してしまいます。理由は有るにせよ「なんじゃこいつは?」と思ったのは私だけでは無いでしょう。まぁそれ迄はMAX4名のPTでケビン・リースが占有していたわけですから、リース離脱後はお気に入りのオリビエ・ジン・ヨシュアトリオでガシガシ戦えるようになった訳ですが。
しかし胡散臭さではケビンも負けていません。最初から「キャプテン」の近藤並にうそ臭い関西弁で好感度を下げまくっていた訳ですが、終盤のイベントを超えると戦闘終了後のボイスから関西訛りが抜けてしまいます。回想シーンで「言葉遣いでいじめられた」とのコメントからも関西弁風の喋り方はデフォのはずなんですが、ケビンの胡散臭さは最後の最後までプレイしていた私に付きまとったのです。
と言う事で「胡散臭い&なんじゃこいつは」の主人公コンビですが、最終章にかけてはケビン中心の話が展開されシナリオ的にある程度は救済されます。しかしケビンはともかくリースに関しては最後まで殆ど救済されず、不安定なキャラのイメージを残したままで物語を終えてしまいます。なんと言いますかストーリーとしてのカタルシスが感じられないまま、最後は後味の悪い結末(と私は感じた)を二人で演じるハメになります。
【システム】
空の軌跡FC/SC/3rdはゲームシステムも若干の改良程度でそのまま引き継いでいます。多くのゲームデザイナーは初作の反省点を元に色々とシステムを修正してきます。まぁ大抵の作品においては何故か改悪が多いような気もしますが、気のせいと言う事にしておきましょう・・・。
その中でもSCから導入された数少ない追加要素「チェインクラフト」には一工夫欲しかったところです。固有の組み合わせの協力技等があればPT構成にもアクセントが付いたんですが、こういう部分はキャラゲー要素を良い意味で有効活用して欲しかったところ。そういえば「幻想水滸伝」も組み合わせによる協力攻撃が楽しかったなぁ。
簡易TRPG風の戦闘システムの割には軽快、複雑な戦略要素は盛り込まれていないので実質的にはコマンド式と大差はありません。物理攻撃は移動+攻撃が1セットになっているのに対し、アーツやクラフトを実行する場合は事前移動が出来ない。特にボス等が直線攻撃を準備している際に範囲から逃げつつ攻撃と言う選択が出来ないのが不満点でした。
【扉】
3rdのみのシステム。FC/SCの主要キャラに関するサブストーリーや後日談等を見ることが出来る「月の扉・星の扉」、ミニゲームがプレイできる「太陽の扉」に分かれています。「空の軌跡」ファンとしては本来の筋よりも楽しみにしていた要素です。個人的には期待していたイベントが無かったり、予想外に面白かったイベント(月5)だったりと、100点ではありませんが80点ぐらいの満足度でしょうか。まぁたくさんのキャラが出てくるので全キャラのファンを満足させる内容はさすがに無理ですな。
【音楽】
BGMは結構気に入っています。サントラも入手しましたしね。特に「銀の意思」は一番のお気に入り、なんですがFC/SCと盛り上がるシーンで頻繁に流れてくるので「ロードかよ」と若干の突っ込みも入ったり。まぁ展開毎にアレンジは工夫しているので全く同じ曲では無いんですけどね。前述していますが大使館の曲が同じだったりと、質と量のバランスが取れてないのかな?と言う感じもします。
しかし3rdになるとBGMは一新されてしまいます(回想シーンでは旧作も流れる)。楽曲的には悪くないと思うのですが、最後の方まで違和感を感じてしまいました。なんだかんだでFC/SCの音楽も「空の軌跡」の世界観を作り出していた1ピースだったんだなぁと思うわけです。
【最後に】
3rd限定で評価すると「ファンディスクとしては及第点、ケビンの物語としてはダメダメ」です。さて私はミッシングリンクを取り戻すべく、ガガーブトリロジーに挑戦しようかと。