CEATECで主要な発表は終了したと思いますが、次世代メディア関連で言えばBlu-rayレコーダの充実が目立ったと思います。一方ライバルのHD DVD陣営の新機種はハイエンド機種のみの発表と言うことで、ワンダー藤井社長の言葉とは裏腹に東芝は記録メディアとしてのHD DVDを普及させる気は無いように感じました。

更に次世代メディアの枠組みを外せば「AVCREC」と「HD Rec」の近親憎悪のような戦いも注目です。私もパナのBW800を購入予定ですので非常に興味がある項目です。これらの規格を調べてみると「DVDという器にH264圧縮されたHD映像を記録する」と言う点についてはAVCRECもHD RecもAVCHDも大差はありません。

「AVCREC」 BD規格の一つ
「HD Rec」 HD DVD規格の一つ(と思われる)

同じDVDメディアを使うだけにユーザへの説明は困難です。Blu-rayとHD DVDは映像コーデックに関してはほぼ同じであっても器に互換性が無かったのですが、今度は器も同じです。従来のDVDプレイヤーでは再生できない事も併せて説明する必要があります。

ここでPS3に話を展開してみます。PS3はファームウェアのVerUPにより既にAVCHDの再生に対応しています。このことからも若干の相違はあるにしても「AVCREC」「HD Rec」にて記録したDVDメディアの再生は技術的に問題は無いものと考えられます。後は本家Sonyが現時点では対応していない両規格に対してどこまで積極的に対応してくるかでしょう、少なくとも「HD Rec」への対応はありえないでしょうね。逆にXbox360は「HD Rec」への再生対応をしてくるかどうか、MS自体が日本のレコーダ市場にフォーカスしていない時点で可能性は低いのですが。

既に低価格スパイラルに陥っている単機能DVDプレイヤーに、果たしてH264デコーダを搭載して競争力を付けられるのか微妙です。となると本当に今後の東芝レコーダとプレイヤーだけのマイナー規格に終了する可能性は非常に高いでしょう。「DVDが認めた正当な規格ですから将来性も心配ありません。」との説明に何の説得力も無いのです。もしかすると東芝がHD DVD規格を撤退した後にひっそりとSonyやパナの機種にも再生互換性が搭載されるかも知れませんが。

しかし、私が次世代DVDについて色々とリサーチしていると、HD DVD陣営が呪文のように唱え続けている「DVDとの親和性」「DVDの正当な後継規格」との謳い文句への違和感が気になってきます。既にBlu-rayレコーダがDVDレコーダとしても使える上に価格競争力を保ったままで商品化されている時点で「親和性」については疑問です。ツインフォーマットは独自規格ですが逆にHD DVDの素性の悪さ(低容量)に足を引っ張られています。「正当」云々についてはもはや筒井康隆の「うちが元祖だ、こっちが本家だ」を髣髴させるコントの域に達しています。

あとはワンダー藤井社長のトンデモ発言だけに期待する状況ですな。